大抜卓人のNothing But A Trouble

私は高所恐怖症だ。

妻と結婚を決意したのは

奈良県にある西日本一高くて長いつり橋

谷瀬のつり橋を

ひょうひょうと歩き。

へっぴり腰で、一歩進むのに１分かかる私の手を

つかみ、向こう岸まで連れて行ってくれた彼女に

「この人とならどこまでも行ける！」と思ったからだ・・・

あれから６年。

私も２児の父となり。

子供達には威厳のある父親を演じている。
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神戸のモザイクに行った。

「観覧車に乗ろうか」と妻。

「子供にはわからへんやろ！」

「乗りたいやんな～」と妻。

３歳の息子は無言だ・・・

１歳の娘は笑顔で「％＆＄＆’＆＄＃％％」

妻がチケットを買ってきた。

ゲートに向かうと、スタッフのお兄さんが

「スケルトンはこちらです」

はあ？

「人気あるんですよ。５分待ちです」

普通でいいのに・・・・・・・・

降りてくる・・・ハーバーランドの景色、神戸の夜景も透き通って

綺麗だな～VERSIONの奴が。

乗り込む家族。

無言の俺＆息子。

「なんか思ったよりこわいな・・・」と妻。

１分前から・・・そう思ってた。

「あ、あかんわ！結構こわいかも！ハハハハ！」

それは・・・今言うな。

それを・・・頂上で言うな！

余計に・・・震える。

頂上を過ぎ、降りていく。

少し心に余裕が生まれた・・・

うん？

息子が気になる。

ずっと無言だ。それに微動たりともしない。

「大丈夫か？」

「・・・・・」

「もうすぐ終わりや、大丈夫」

と父親らしく彼の肩をギュッとつかむ。

それにビクッ！とした息子は

俺をじっと睨み

「それは絶対にするな」

と冷静かつはっきり発音した。

真顔で怒られ少し凹んだ・・・

息子よ。

いつの日かお前に彼女ができたら

デートコースに谷瀬のつり橋は・・・

オススメだ。